「不倫」と「浮気」の違いって何?法的解釈と日本語的な意味

不倫と浮気の違いってなんだと思いますか? 明確な違いをはっきりと言える人って少ないんじゃないですかね。なんとなくこんなイメージという、ざっくりとした認識をしている人も多いと思います。今回は不倫と浮気についての意味を調べてみました。

1:「不倫」と「浮気」は同じ意味じゃないの?

(1)イメージ的には「不倫=既婚者のみ」「浮気=カップルも含む」ですよね

不倫と浮気って何が違うの?と思ったことはありませんか? 一般の方はどのように認識しているのか? 無作為に選んだ人に質問してみました。

――不倫と浮気は何が違うと思います?

「浮気は結婚相手とか恋人とかのパートナーのいる人がパートナー以外の人と関係を持つことですかね。不倫は既婚者の人が、または既婚者の人を相手に浮気をすること、かな」(24歳/キャバ嬢)

要するに、「不倫=既婚者のみ」で「浮気=カップルも含む」というイメージのようです。

(2)法律的には「不倫」と「浮気」は使わず「不貞行為」?

一般的に不倫と浮気のイメージは、上述されたものだと思います。では、法律ではどのように記されているのでしょうか。民法770条1項1号には次のように書かれてあります。

「配偶者に不貞な行為があったとき。」

浮気や不倫という言葉を使わずに不貞と書かれていますね。因みに不貞とは次の意味になります。

ふ‐てい【不貞】

貞操を守らないこと。また、そのさま。「不貞をはたらく」「不貞な行為」

(出典:デジタル大辞泉/小学館)

最近、不倫に関するメール取材を弁護士さんに行った際も、不倫や浮気という言葉ではなく一貫して「不貞行為」として回答が返ってきました。不貞行為とは男女間の肉体関係を意味している法律用語なのかもしれません。

 

2:「不倫」の意味は?いろいろな辞書を比べてみた!

(1)デジタル大辞泉

ふ‐りん【不倫】

道徳にはずれること。特に、男女関係で、人の道に背くこと。また、そのさま。

(出典:デジタル大辞泉/小学館)

『倫』には“人の守るべき道筋”という意味があることから、頭に“不”をつけてそれを否定する『不倫』は、“道徳にはずれること”という意味になるようですね。浮気をすることだけが不倫というわけではなさそうですね。

(2)大辞林

ふ りん【不倫】

道徳に反すること。特に、男女の関係が人の道にはずれること。また、そのさま。

(出典:大辞林 第三版/三省堂)

『大辞林』に載っている意味は、ほとんど『デジタル大辞泉』に載っている意味と変わりませんね。強いて特徴を挙げるなら『男女の関係が人の道に“はずれること”』という部分でしょうか。デジタル大辞泉の“背くこと”という表現には本人たちの意思が感じられますが、“はずれる”にはそこまでの強い印象は受けません。

(3)広辞苑

ふ‐りん【不倫】

人倫にはずれること。人道にそむくこと。特に、近年では男女の婚姻外の関係について言う。

(出典:広辞苑 第七版/岩波書店)

『広辞苑』では『デジタル大辞泉』や『大辞林』よりも、もう1歩つっこんだ“男女の婚姻外の関係”という記載のあることが特徴的ですね。

(4)日本国語大辞典

ふ‐りん【不倫】

不道徳であること。特に、男女関係で人の道にそむくこと。また、そのさま。

(出典:日本国語大辞典 第二版 第十一巻/小学館)

筆者は辞書をひいて“道徳”や“人の道”という言葉をずっと見ているせいか、「道徳とはいったいなんだろう」という思いがしてきました。

(5)新明解国語辞典

ふ りん【不倫】

①男女が、越えてはならない一線を越えて関係を持つこと(様子)。
②〔古〕有るべき順序と違うこと(様子)。

(出典:大きな活字の 新明解国語辞典 第六版/三省堂)

『新明解国語辞典』では、“道徳”という大きな枠組みの記載がありませんね。 “越えてはならない一線”という表現は肉体関係を持つことと推測できます。

“男女関係で人の道にはずれる”という説明よりも具体的ですが、婚姻に関する説明はありません。“有るべき順序”とはいったい何をさしているのでしょうか。

(6)国語大辞典

ふ りん【不倫】

道徳からはずれること。特に異性との関係における道徳からはずれること。

(出典:学研 国語大辞典 第二版/学習研究社)

『国語大辞典』でも多くの辞書と同じように“道徳からはずれる”という説明で婚姻外の男女の結びつきを説明しているようです。とはいえ、既婚者の浮気という意味以外にも使えそうな説明です。

(7)日本語源広辞典

ふりん【不倫】

中国語で、「不(否定)+倫(人倫)」が語源です。道徳にはずれていること、道ならぬこと、の意です。

(出典:日本語源広辞典[増補版]/ミネルヴァ書房)

『日本語源広辞典』は語源などを説明してくれる辞典のようです。不倫の意味としては、やはり道徳にはずれているという意味がメインになるようです。

(8)類語国語辞典

最後は「不倫」の類語を調べてみました。

類語国語辞典を開くと『社会』という大分類の中に『人倫』が中分類として載っています。

その中には『節操(自分の主義・道徳を堅く守って変えないこと)』という小分類がありまして、さらに[貞操・不貞-人として操を守ること・守らないこと]という類語の場所に「不倫」を見つけることができました。

以下に不倫の類語と思われる“不貞”に関する語句を抜き出してみます。

[汚れる]○貞操が保たれなくなる〈穢れる〉
[汚す]○貞操を奪う〈穢す〉
[辱める]○女を犯す意の婉曲表現
[不貞]○貞操を守らないこと
[不義]○男女の道ならぬ関係
[不倫]○人の道に外れた男女関係
[破倫]○人の道に背くこと。不倫
[乱倫]○特に男女関係が乱れていること〈濫倫〉

(出典:類語国語辞典/KADOKAWA)

やはり人の道に背くという意味と男女関係の説明が目立ちますね。しかし、最大の特徴は『社会』という大分類に分けられていることではないでしょうか。

 

3:「浮気」の意味は?いろいろな辞書を比べてみた!

(1)デジタル大辞泉

うわ‐き【浮気/上気】

①一つのことに集中できず心が変わりやすいこと。また、そのさま。移り気。
②(性愛の対象として)特定の人に心をひかれやすいこと。また、そのさま。多情。
③配偶者・婚約者などがありながら、別の人と情を通じ、関係をもつこと。
④心が浮ついて、思慮に欠けること。また、そのさま。
⑤浮かれて陽気になるさま。また、そうなりやすい気質。

(出典:デジタル大辞泉/小学館)

不倫の意味との違いとして、「集中できないこと」や「浮かれて陽気」という説明は予想できましたが、道徳に関する記載がないことには驚きです。

男女関係の説明もより具体的になっていますね。“恋愛における浮気”が②で“一般的にいわれる不倫”が③ということでしょう。

(2)大辞林

うわ き【浮気】

① 一つのことに集中できなくて、興味の対象が次々に変わる・こと(さま)。
②異性から異性へと心を移す・こと(さま)。多情。
③妻や夫など定まった人がいながら他の異性と情を通ずること。
④陽気で華やかな・こと(さま)。

(出典:大辞林 第三版/三省堂)

『大辞林』は『デジタル大辞泉』と説明が似ていますが、“陽気で華やかな・こと(さま)”という部分に違いがあらわれていますね。ポジティブな意味もあるようです。

(3)広辞苑

うわ‐き【浮気・上気】

①心がうわついていること。心が落ち着かず変わりやすいこと。
②陽気で派手な気質。
③男女間の愛情が、うわついて変わりやすいこと。多情なこと。他の異性に心を移すこと。

(出典:広辞苑 第七版/岩波書店)

『広辞苑』の場合は、一般的なカップルの“浮気”と既婚者の浮気である“不倫”の意味を分けていないようですね。

(4)日本国語大辞典

うわ‐き【浮気】

①うわついて落ち着きのない性質や状態。心がうかれて思慮に欠けている状態。うわっ調子。
②陽気で、はでな性質や状態。ぱっと人目につくさま。
③気まぐれに異性から異性へと心を移すこと。決まった妻や夫、婚約者などがいながら、他の異性と恋愛関係を持つこと。また、そのさま。好色。多情。

(出典:日本国語大辞典 第二版 第二巻/小学館)

ここまで見てきて1つ気づいたのは、多くの辞書の浮気の基準が“心を移すこと”にあるということ。肉体関係を持ったという事実ではなく、他の人を“いいな”と思ったらそれは浮気ということになるようです。

(5)新明解国語辞典

うわ き【浮気】

①一つの物事だけに精神が集中出来ず、他の物事に興味が変わりやすいこと。
②妻(夫)を愛するだけでは足りなくて、他の異性とも一時的に愛欲関係を持つこと。

(出典:大きな活字の 新明解国語辞典 第六版/三省堂)

『新明解国語辞典』では、浮気の基準がカップルではなく既婚者の“不倫”におかれているようですね。また、肉体関係にも言及しています。

(6)国語大辞典

うわ き【浮気・上気】

①気持ちが一つのことに落ち着かず、変わりやすいこと。うつり気。
②異性に心を引かれやすいこと。多情。
③配偶者・婚約者などがあるにもかかわらず他の異性を(一時的に)愛すること。

〈出典:学研 国語大辞典 第二版/学習研究社〉

『国語大辞典』では②の“異性に心を引かれやすいこと”という記述は、そういった性格をさしているように感じられますね。

(7)日本語源広辞典

うわき

語源は、「ウワ(浮)+気」です。心が浮いている意です。他の異性に心が移りやすいことをいいます。転じて、一般に、興味が移りやすい意を表します。

(出典:日本語源広辞典[増補版]/ミネルヴァ書房)

『日本語源広辞典』でもやはり“他の異性に心が移りやすいこと”となっていることから、性格や気質をさしているように感じられますね。元々は多情なことを指す言葉で、それが転じて集中力のなさや気まぐれなさまを指すようになったようですよ。

(8)類語国語辞典

最後は浮気の類語を調べてみました。

類語国語辞典を開くと、『性向』という大分類の中に『性格』という中分類が載っています。その中には、さらに『気長(のんびりしてあせらないさま)』という小分類がありまして、その中に『浮気』という言葉が載っていました。“飽きっぽい” や“辛抱できないさま”という意味の類語を抜き出してみると、以下のようになります。

 

[移り気]○気が変わりやすいこと
[気紛れ(きまぐれ)]○気が変わりやすいこと
[浮気]○心が浮わついていて変わりやすいこと
[斑気(むらき)]○気分が一定せず変わりやすいこと
[斑(むら)]○気質が不定で変わりやすいこと
[飽きっぽい]
[忘れっぽい]○よく物忘れをするさま

(出典:類語国語辞典/KADOKAWA)

今度は中分類『性格』の中でも『好色(異性を好むこと。色好み)』という小分類の中から浮気の類語を抜き出してみました。

[好き]○好色であること
[好き心]○好色な心。物好きな心
[女好き]○女色(じょしょく)を好むこと。女性好みであること。女性から好かれやすいこと
[男好き]○女性が普通以上に男性を好くこと。男性として好ましく思う女性であること
[色好み]○好んで異性との情事にふけること
[好色]
[浮気]○愛情が他に移りやすいこと
[尻軽]○女性が浮気であること
[鼻の下が長い]○好色で女性に甘い
[鼻下長(びかちょう)]○色好みで女性に甘いこと。その男性。鼻の下が長い意
[妻(さい)のろ]○妻に甘くてそのいいなりになること。その人。「サイコロジー(心理学)」をもじった「サイノロジー」から
[助平(すけべえ)]○好色であること。「すけべい」とも〈助兵衛〉
[漁色(ぎょしょく)]○女色をあさること
[多情]○異性への愛情が移りやすいこと
[多淫]○性的欲望が強く交渉の度が過ぎること
[淫蕩(いんとう)]○酒色などの享楽にふけり生活が乱れること
[淫奔(いんぽん)]○(女が)性的にだらしがないこと。みだら。多情
[淫乱]○性的に乱れて締まりがないこと
[色狂い]○女色におぼれて身持ちの悪いこと
[女狂い]○男が見境なく女性に夢中になること
[男狂い]○女が見境なく男に夢中になること
[色気違い]○度をこして好色であること〈色気狂い〉
[色情狂]○色気違い。異常に病的に好色な人

〈出典:類語国語辞典/KADOKAWA〉

やはり『不倫』の類語と違って道徳に関することは出てきませんね。最大の違いは浮気が『性向』に分類されていることでしょう。不倫は社会的なことで、浮気は性格的なことのようです。

 

4:どっちの言葉が強烈だと思う?『Dangdep!』編集部に聞いてみた!

最後に、『Dangdep!』編集部のスタッフ3人に不倫と浮気、どっちの言葉が強烈か聞いてみました! 座談会スタイルでお届けします。参加したのは編集長T氏(男性)、編集部A子さんとB子さんです。

A子:断然、不倫ですよねー。

B子:私もそう思います。浮気って言葉って、「夏だし!」とか気分盛り上がって、ついうっかり若い男とやっちゃった、みたいなときも使うじゃないですか。

A子:そうそう、“自分自身の気持ちのありよう”としても使う言葉よね。

T氏:なるほどね~。

A子:あと、辞書的に「陽気で浮かれた様子」みたいな意味もあるから、どこか明るいイメージがある。でも、不倫にはそれが一切ない。ひたすら暗い。

T氏:なるほど。その暗さが不倫っていう言葉の重さにつながって、結果、強い印象になるということだね。

B子:そうそう、そうです。浮気……それは、深夜にコンビニ行ったらおいしそうなケーキがあったから、つい買っちゃってうっかり食べちゃった!って感じ。軽い!

A子:わかる! その場の欲望に流されてつい……なんだけど、満たされたあとに罪悪感もあるっていう(笑)。

B子:それに比べて不倫は、レストランで隣に座っていた人の料理を、相手がトイレとかに行って席を外している間に、こっそり食べちゃうっていうイメージ。って考えると、すごく陰湿だし失礼だし下品なんですよね、不倫って。

T氏:なるほどな~。でも浮気の場合も、相手が「人のもの」ってケースもあるでしょ。

B子:あー、浮気の場合は、相手の背景とかまったく意識しないですね。

T氏:なるほど……、「不倫」って「人のものを奪ってる」っていう背徳感によって盛り上がる部分あるもんね。

A子:浮気の中で一番重篤なのが不倫ってこと!だと思う。

B子:うんうん、たとえば、「既婚の男性と不倫したことありますか?」って聞くと、「不倫? 浮気じゃなくて?」とか聞き返してくるもんね。

A子:言う言う! そういう人って、絶対「自分は不倫してる」って分かってるんだけど、それは秘密にしたいんですよね。軽蔑されそうだから。

B子:そうそう、はぐらかすの。

T氏:なるほどね。浮気って意味合いが広いから。グレーにしてぼやかしたいっていう心理が働くんですかね。

B子:……あの~、Tさんって、さっきから「なるほど」しか言ってないんですけど!

T氏:いや、そんなことないでしょ。ないですよ。

A子:あれ~……、Tさん、もしかして不倫したことあります?

T氏:え? 不倫? 浮気じゃなくて? 結婚してからってこと?

A子B子:あ~~………。

編集部に重い空気が流れ始めたので、おひらきにしたいと思います!

 

5:「浮気」にはない「不倫」の罪とかけまして…

いかがでしたか? 不倫と浮気の意味について、これではっきりとわかったと思います。辞書の意味を見比べてみても、編集部の意見を読んでみても、その違いははっきりとしていますね。

『浮気』にはない『不倫』の罪とかけまして、

行きすぎたしつけと解きます。

その心は……。

子どもが陰で泣いています。

おあとがよろしいようで。