梨園の妻って大変そう…実際は?歌舞伎役者の社会と梨園の妻の実態

あなたは「梨園の妻」に憧れたり、なりたいと思ったことはありますか? 着物を着て夫の傍にいつも寄り添う梨園の妻の姿を素敵だと思ったり、その凜とした姿に尊敬の念を持ったことがある女性も多いはず。ですが、実際のところは、どういった世界なのでしょうか。そこで今回は、梨園の妻の実態について、『Dangdep!』なりに切り込んでいきます。
©gettyimages

1:梨園の妻の掟とは?格差やいじめの噂もあるのになぜ歌舞伎役者の妻になるのか…

梨園の妻って聞いたことありますか?

梨園の妻とは、歌舞伎俳優の妻のことを指します。この「梨園」の辞書的な意味を調べてみると、

り‐えん【梨園】

1 梨 (なし) の木を植えた庭園。

2 《唐の玄宗皇帝が梨の木のある庭園で、みずから音楽・舞踊を教えたという「唐書」礼楽志の故事から》俳優の社会。特に、歌舞伎役者の世界。「梨園の名門」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

とあります。

『Dangdep!』の過去記事「厳しいっ!藤原紀香や小林麻央がつとめる“梨園の妻”鉄の掟3つ」でも紹介したように、梨園の妻になるためには、完璧な礼儀作法や華やかさ、そして夫を支える献身的な心と、多忙に負けないタフさが必須です。

またご贔屓筋(ごひいきすじ)にしっかりと挨拶をするために、相手のことを覚えたり、歌舞伎についての勉強も欠かせません。

こんなに大変な梨園の妻ですが、やはり女性として憧れをもつ人も少なくないのが事実。その理由のひとつは、たまにニュースなどに取り上げられる梨園の妻の姿が凛としており、女性として「あぁいう奥さんになりたい……」と思わせる気品が漂っているからではないでしょうか。

 

2:梨園の妻は着物が命!梨園の妻から学ぶ着物の着こなしポイント5つ

梨園の妻にとって、着物は仕事着でもあり勝負服でもあります。どうすればあんな風に上品に着物を着こなすことができるのでしょうか? そのコツや技を紹介します。

(1)季節によって着分けをする

自ら着物のデザインもされている、十二代目市川団十郎さんの妻、堀越希実子さん。

彼女は自身の著書『成田屋のおくりもの』の中で、着物の季節による着分けについて触れています。季節の気温など四季のある日本だからこそ、その時期その時期に合った素材や仕立て方の着物を選ぶことが大事だそうです。

(2)観に行く芝居に合ったものを

着物を着て歌舞伎などを観に行くというのであれば、その演目に合った着物を選ぶのも良いでしょう。梨園の妻は、周囲に着物や演目に詳しい人が多くいるために、場違いな着物を選んでしまうのは好ましくありません。

また演目と同時に、季節感を着物の色や柄で演出することも大事です。例えば桃の節句の近くの時期ならば、お雛さまをイメージした帯を締めたりします。

(3)相手を立てる気持ちを忘れずに

嫁ぐ前まではほとんど着物の着付けを自分でしたことがなかったという三田寛子さんは、中村芝翫さん(当時は三代目・中村橋之助さん)の妻になってから、お母さまに「お客さまより高価なもの、目立つものは避けなさい」と言われたそうです。

あくまで梨園の妻とは、旦那さんである歌舞伎俳優を裏で支える役割。この言葉から読み取れるのは、自分の置かれている立場や行く場所など、TPOに合った着物選びが重要ということでしょう。

(4)日々のコーディネートは帯を変えて

着物を毎日とはいかなくても、毎週のように着るのなら、いつも同じ着物になってしまうと見栄えが良くありません。とはいえ、そんなに安くはない着物を何十着も買うのは大変。

そこで、毎日着物を変える方が良いと考えられている梨園の妻たちは、帯を変えることでコーディネートを楽しんでいるそうです。

(5)足元まで気を抜かずに

着物を着ているときには着物や帯の柄だけでなく、小物にもこだわると上品に仕上がります。特に足元は着物姿でも重要です。足袋はいつも清潔感のあるものを身につけましょう。

そして着物と言えば髪型も重要ですよね。アップヘアにした場合には、着物に合わせたかんざしや髪留めをひとつ添えてみるのがいいでしょう。かんざしひとつで印象がガラッと変わることもありますよ。

 

3:歌舞伎役者の社会は厳しい!?梨園の妻も驚く歌舞伎役者の実態3つ

華やかに見える歌舞伎役者や梨園の妻の世界ですが、実際はかなり大変なことも多いようです。普段なかなか知ることのできない歌舞伎役者の実態を紹介します。

(1)実力だけが物を言う世界

歌舞伎役者は基本的には親から子へ代々受け継がれていきますが、先代の名前を継げるかどうかは実力次第。例えば、親が市川團十郎だからと言って、必ずしもその子どもが市川團十郎の名を襲名できるいうわけではないのです。

さらに襲名は役者がその親が望んだからといって叶うことではなく、先輩方や関係者みんなに認めてもらえて初めて実現できること。

ですから、役者の家に生まれても、死ぬまで努力を怠らない姿勢が求められます。

(2)24時間365日役者

梨園の妻の女性たちの書いた本から読み解いたことに、本当に歌舞伎役者の方々は、24時間365日役者として生きているということが伝わってきます。

親が死んでも舞台を空けるわけにはいかず、どんなときでも万全の体調で舞台に臨み続けなければいけません。

結婚式だって、舞台の合間合間を縫って行ったという話も……。

(3)6歳から稽古

歌舞伎役者の家には、6歳6月6日から稽古事を始めるという習わしがあります。ですから、歌舞伎役者の家に生まれた男の子は、まだ自分の意思が固まる前からお稽古に励まねばなりません。

小さいころは、学校が終われば友達と遊びたいと思うのも当然のこと。ですがそれをさせないように学校まで迎えに行き、しっかりと習いごとをさせることも梨園の妻の役目のひとつなのです。

 

4:歌舞伎役者も梨園の妻も大変……

梨園の妻なんて、究極の玉の輿です! 自分もなりたい!なんて簡単に憧れてしまうかもしれません。しかし、実際は本当に目が回るほど忙しい毎日のようです。その上、男の子を生まなければいけないというプレッシャーもかなりのもの……。

自分の身を削るようにして夫のことを支える梨園の妻がいてこそ、歌舞伎役者は、その本業に専念して輝けるのでしょうね。

 

【参考】

『銀婚式』三田寛子著

『成田屋のおくりもの』堀越希実子著

『三人桃太郎 中村勘九郎一家奮戦記』波野好江著

『團十郎の歌舞伎案内』市川團十郎著